【韓国】人工知能を使った契約締結時の消費者保護

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人工知能を使った契約締結時の消費者保護
キム・ジンウ教授(韓国外大ロースクール) 入力:2020-01-02午後2:07:11

I.はじめに
使用者のために一定作業を自律的に遂行できて第三者に対し使用者に代わって周辺環境と相互作用することができる一定範囲の知能を持つコンピュータプログラムをよく’知能型エージェント(intelligent agent)’というがその本質は人工知能だ。

人工知能はビッグデータを基にディープラーニング・マシンラーニング形態で学習能力を持つという点で伝統的なアルゴリズムと決定的に異なる。人工知能は取り引きと関連して人間より実用的に意思決定ができるので今後その使用がより一層増加するだろう。

本文は人工知能を使って事業者と消費者の間に契約(B2C契約)が締結される時に発生する二種類の主要問題である約款の編入および情報提供義務について調べる。

Ⅱ.約款の編入
1.意思表示の帰属
知能と自律性がない自動システムは決まったアルゴリズムに盲目的に従うのでその表示は常に使用者の表示だとしなければならない。すると自律的判断をする人工知能は自身の表示をすると見るだろうか?

人工知能を使った契約締結では人工知能が表示の内容を自律的に定めて契約相手方も選択する。しかし現行法上人工知能は法人格がないので代理法理を適用することはできない。人工知能に対し法人格が付与されるならば(‘電子人’制度)代理法理の適用を通じて意思表示の帰属問題を処理することができる。

そういう立法があるまで人工知能使用者は自身の行動半径を広げるために人工知能を使ったものであるから人工知能の表示は使用者に帰属すると立論するほかはないだろう。

2.人工知能を使った契約における約款編入問題
当事者の間に直接的なコミュニケーションが成り立つインターネットを通した一般的な契約締結では良く目につくリンクを通じて事業者のウェブサイトにある約款および重要条項に対する説明文を消費者がダウンロードできる方式で約款の明示・写本交付・説明義務が履行されることがある。

しかし人工知能を使った契約締結は非対面取り引きであり契約当事者の間に直接的なコミュニケーションが成り立たない。また、消費者が人工知能を使う場合には事業者が約款法第3条第2項の要件である’契約を締結する時に顧客に約款の内容を明確に明らかにして重要内容を説明すること’が不可能だ。

すると人工知能を使った契約締結は約款の編入なしで成り立つと見るべきか?これは否定されなければならないだろう。一方で事業者は約款編入による契約締結に対する正当な利益を持って他の一方で人工知能を使った契約締結でも消費者保護の必要性が相変らず存在するためだ。

3.消費者側が人工知能を使う場合
消費者側が契約締結にアレック社(Alexa)のような人工知能スピーカーを使う場合、約款の編入要件はどのようにみたされるか?人工知能を使った契約締結で消費者は契約締結に直接関与しないで関与しようとすることもない。

そういう状況で約款の明示・写本交付・説明義務の履行のために事業者が契約締結時に消費者に追加で接触するように要求することはできない。約款法が上の義務を規定したことは消費者の約款内容に対する認知の可能性を保障して契約の締結の有無を決めるのに助けになるためだ。

したがって消費者は遅くとも契約を締結する時までは約款内容に対する認知の可能性を持たなければならない。しかし契約締結に人工知能が使われればこれが不可能だ。消費者はせいぜい契約締結後で約款の内容が分かるので事業者は’契約を締結する時に’消費者に約款の内容を明らかにしなければならないという約款法第3条第2項を遵守できなくなる。

だが、人工知能が約款の内容を把握することのできない危険はその使用者である消費者が負担しなければならない。消費者が約款を読まなかったり皮相的だけで読んでも約款が契約に編入されるような脈絡でだ。

人工知能が使われた契約締結では人工知能が約款と約款の重要内容に対する説明文をダウンロードして保存できると消費者の認知の可能性が肯定されて同時に明示・写本交付・説明義務が全部履行されて約款の契約への編入に関する同意もあると見なければならない。

Ⅲ.情報提供義務
1.消費者が人工知能を使う場合の情報提供の相手方
現行法上人工知能の行為は全部その使用者である消費者に帰属しなければならないので事業者は消費者はもちろん消費者の人工知能に対し情報を提供しても関係ないだろう。

2.情報提供義務違反の効果
人工知能を使って財貨やサービスを販売する事業者は通信販売業者に該当するので契約締結前に多様な’取り引き条件’に関する情報と事業者の’身元’に対する情報を消費者に提供しなければならない。しかし消費者が人工知能を使う契約で事業者の契約締結前情報提供義務の履行は容易ではない。

例えばアレック社による注文手続きは消費者が代金支給を確認する程度で簡略に形成されていて電子商取引法が要求する情報提供義務を履行できない。アレック社にはディスプレイがなくて情報を視覚的に表示することもできない。

それによりアマゾン(Amazon)は情報提供義務違反に対する電子商取引法にともなう行政処分や刑事的制裁(第31条以下、第43条、第45条)を受ける危険に直面している。

情報提供義務を不履行しても私法的にはすでに成立した契約の有効性に影響を及ぼさないけれど消費者撤回権の起算に影響を与える(電子商取引法第17条第2項)。結局事業者の見解で情報提供義務不履行の民事法的効果は撤回権の行使期間を事実上延長してすでに成立した通信販売を危険にすることがある。

3.情報提供義務の具体的履行
消費者が取り引きにアレック社を使う場合、アマゾンは消費者と直接接触しないで消費者のアレック社と接触することになる。問題はこの場合に事業者が契約締結前情報提供義務をどのように履行できるかという点だ。また、事業者が具体的にいつまでに情報提供義務を履行しなければならないかも疑問だ。

消費者は意思決定に対する疲労から抜け出そうと契約締結を彼の人工知能に任せて人工知能は単に契約の成功の有無だけを消費者に知らせる。したがって事業者が契約締結前に消費者に情報を提供するのは事実上ほとんど不可能だ。

しかし情報提供義務の不履行に対しては制裁が伴うことがある。そういう制裁は事業者の義務履行を不可能にした側は消費者という点を考えれば不合理だ。するとこのような不合理を解決できる方案は何か?

人工知能を使う消費者は事業者が提供する情報の認知をあきらめたものということができる。消費者の認知欠如を彼の負担にするのかでなければ事業者の負担にするのかは誰がこれに対する原因を提供したかにより区別されなければならない。

ここで重要な意味を持つのは技術発展状況、人工知能の普及程度および義務的情報の標準化とそれの普及程度だ。すなわち人工知能が比較的珍しく使われて技術的標準が不足した場合、人工知能が技術的に法律が要求する情報を完全には理解できないという点を計算に入れなければならない。消費者の情報認知の可能性の欠如は消費者の危険領域に属する。

事業者は少なくとも現在では消費者の使う人工知能が自然語になったテキストを解釈できないということを計算に入れる必要がない。それなら情報が消費者の人工知能に提供されてダウンロードを通じて保存されることができるならば情報提供義務の履行に充分だというだろう。

しかし人工知能が広く普及されて法律上の義務に対する標準が開発された場合には状況が変わる。人工知能が通信販売で普遍的に使われる場合、事業者は法律上の情報を人工知能が処理できる形式で提供しなければならない。そうでない事業者は情報提供義務を不履行したことになる。

Ⅳ.要約および展望
(1)約款の契約編入:消費者は原則的に彼の人工知能に約款および重要内容に関する説明文がダウンロードおよび保存の可能性と共に提供された時に約款の内容に対する認知の可能性を持つ。消費者の人工知能が約款を理解できなかったり一部だけ理解できる危険は消費者が負担する。

(2)情報提供義務:消費者が彼の業務処理のために人工知能を使う場合、情報が消費者の人工知能に提供されてダウンロードを通じて保存されることができるならば情報提供義務の履行に充分だというだろう。

(3)展望:契約締結のための人工知能の使用は人間の意思との接点がとても小さくて伝統的法律行為ではないし意思表示理論はまもなく限界に至るだろう。それにより人工知能を使った契約締結が安定した法的基礎の上に可能にする新しい規範の確立に対する要請が大きくなるだろう。この時、人工知能に対する法人格付与可否が核心の争点になるだろう。

キム・ジンウ教授(韓国外大ロースクール)

【出典】韓国/法律新聞
https://www.lawtimes.co.kr/Legal-Info/Legal-Info-View?serial=158346%MCEPASTEBIN%

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Author: hasegawa

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