【韓国】労働法とリーガルテック、どこまできたか… ‘ターミネーター’憂慮は取越苦労

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登録:2019-11-15 16:22:14 修正:2019-11-15 16:25:57
[2019年12月号vol.0]

去る8月人工知能と現職弁護士が労働契約書分析および法律諮問を巡り競争を行った。アジア初で進行されたAI対弁護士対決は法曹界の世間の注目を集めるのに充分だった。

弁護士でだけ構成された9チームとAIとチームになった弁護士2チーム、そして完全な非専門家である一般人とAIでなされた1チームが与えられた労働契約書を分析して間違いおよび脱落事項、違法要素を探して代案を提示した。

結果はAIチームの圧勝だった。3位を占めた一般人-AIチーム点数が弁護士でだけ構成された4位チームより61点も高かった。満点は150点だった。

弁護士らと対決に乗り出したAIはインテルシリコン研究所が開発した労働法専門人工知能弁護士’アルファロー’であった。去る2016年イ・セドル9段と囲碁対決を広げた’アルファ碁’を文字って付けられた名前だが、本来はCIA(Contract Intelligent Analyzer)、言葉どおり契約書分析を専門にするAIだ。

CIAがその多くの法律契約中労働契約書を対決課題で選定した理由は何だろうか。アルファローを開発したインテルシリコン研究所は”労働契約書は一生一回以上は作成する最も必須の契約書”として”多くの人々が締結する契約に役に立つことができるという公益的目的が最初の理由”と説明した。

これは去る2017年サービスを始めた法務部のAI法律秘書’ポビ(対話形生活法律知識サービス)’が労働分野法律と判例を一番最初にリリースした理由とも同じだ。 また他の大きい理由は労働契約書が持つロジック性だ。労働契約書に書かれる労働時間、最低賃金などは労働基準法に繊細に規律されている。当事者間協議を中心に自由に締結するその他の契約書と最も大きい差を見せる点だ。労働基準法強行規定は法条項の解釈よりは規定遵守可否判断が重要だが、このようなデータ分析とエラー検索および修正は人工知能が卓越した分野だ。

■労働法進出したAI、どこまできたか

現在の労働法市場でAI技術は検討機能を中心に活性化している。11月発売予定の労働契約書作成支援アプリケーション’人事パット’は労働契約書作成時に法違反の有無を即刻に教えるAI自動検討機能を搭載した。8年以上人事労務実務経験を積んだ公認労務士のノウハウにAI技術を組み合わせてはやくて正確に労働契約書を検討・作成する。AI活用で契約書不良作成リスクを顕著に減らした。

国内大型ローファーム大陸アジア洲は昨年2月インテルシリコン研究所と法律人工知能システム導入協約式を持った。大陸アジア洲が導入したAIは’ユレックス(U-LEX)’で関連法令と判例を速い速度で探す知能型法令・判例検索システムだ。

現代経済研究院が去る2016年発表した’リーガルテック産業現況と示唆する点’報告書によれば通常弁護士は事件受任法令と判例、論文、量刑基準などを検索するのに約20%の時間を入れることが明らかになった。短くて何日、長くて数か月をかけなければならなかった事前リサーチ業務をユレックスがわずか20~30秒後で解決することによって検索費用を大きく減らした。ユレックスを開発したインテルシリコン研究所はもう一歩踏み出して法的’諮問’機能まで備えたAIをリリースした。先立って現職弁護士と対決を広げたアルファローだ。

アルファローでは労働契約書を入力すれば一種の諮問結果を出すシステムだ。労働契約書内の法違反要素を検索するのに終わらないで、必須条項のうち脱落したものはないのか、脱落したとすればその脱落条項がどんな法的意味を持つかを説明する。また、契約当事者の年齢・性別・労働形態はもちろん企業規模に伴う特性まで考慮して解説を付け加える。人工知能が単純リサーチ業務補助から’諮問’までその領域を拡大して法曹界の抵抗も強まる局面だ。

■リーガルテック労働法専門資格者市場蚕食か

先進リーガルテック企業が労働法市場に力点を置いて研究・開発して労働法専門資格社市場が蚕食されることがおきるという憂慮が広がっている。’第1回アルファロー腕自慢大会’に参加したある弁護士は”確かに機械が上手に出来る分野があり、その分野ではこれ以上競争することが無意味なほどだと感じた”と話した。 該当弁護士は”労働契約書検討などは人が一つ一つ検収することよりコンピュータを活用することがはるかに効率的”としながら”一部分野は今後近い期間内に代替される可能性もある”と展望した。

昨年日本野村総合研究所は英国オックスフォード大学と共同調査を通じて2030年頃日本の社会保険労務士業務の79%が自動化されると予想した。私たちの法務士、行政士と類似の司法書士と行政書士の業務はそれぞれ78%、93%が自動化されると見通した。国内専門資格者業務領域と多少差があるが、人工知能の発達が労働法を専門にする資格者に’危険’と認識されることがおきるという事実を確認した結果であった。実際のアルファロー腕自慢大会の便りを報道した記者たちに一部専門資格者の抗議電話があったことが分かった。

これに対してインテルシリコン関係者は”人工知能は人間に代える自律的知能を持つ’ターミネーター’でない”として”人間の業務的判断を助ける効率的で役立つシステム”と強調した。彼は”リーガルテックが最も活発に使われるアメリカだけ見ても自律的に判断する独自システムというよりは人間の業務を革新的に支援する助力者システムへ行く状況”と説明した。

■人工知能、効率的道具であることは’確実’ …業務蚕食は’遠かった’

労働法実務者もAIが効率的な道具として作用できるということに同意した。チョン・ジェウク大韓弁護士協会教育理事(法務法人チュ・ウォン)は”まだ足取り水準だが、今後にはAI技術が非効率的な業務を効率化して、業務プロセスを単純化する側面では多いに役に立つだろう”と話した。

彼は”AIを威嚇と考える人も、チャンスだと考える人も多い”として”技術発達、時代の流れを防止できないならばどのように受け入れることが望ましいのか、特に弁護士法など既存制度と調和するように進行されるか悩みと検討が必要だ”と強調した。人工知能の弁護士業務蚕食に対しては懐疑的な見解を見せた。

チョン弁護士は”あらかじめ組んでおいた枠組み中でAIが定形化された労働契約書を検討するのは早くて一応助けになることができるが、実労働事件は定形化されていない”として”労働現場は正解がぴったり当てはまる所がない”と説明した。

例えば解雇と関連して’正当な事由’を判断するべきなのにこれは事業所の条件、労働者の地位および担当職務の内容、不正行為の動機と経緯、過去勤務態度など総合的な考慮が必要だ。このような複雑・曖昧性をAIが機械的に判断することは容易ではない。結局法的判断や意思決定は人がしなければならない。

チョン弁護士は”AIが適切な判例を検索するのに役に立つことができるが、争訟事件処理にはこのような曖昧性のために弁護士に代えることができると判断されない”として”AIが定形化された労働契約書をよく分析できるといってもそこで派生する紛争を解決することは容易ではないだろう”と展望した。

韓国公認労務士会ホン・スギョン副会長はAIの労働法市場流入が情報民主化に肯定的に寄与すると展望した。ホン副会長は”情報が権力になることがおきる社会で法律業務を専門資格者が独占するならば権力関係が発生する可能性がある”として”情報民主化の側面でAI導入は必要だと考える”と明らかにした。彼は”AIを通じて国民がより一層簡単に労働法関連情報を享有できるならば良いこと”と期待した。公認労務士の業務領域蚕食憂慮に対しては”技術発達による既存市場の変化はどの分野でも起きることができる当然のこと”としながら”憂慮でない挑戦しなければならない課題”と釘をさした。

ホン副会長は”AI活用を通じて大企業人事担当者、中小・零細企業事業主など各顧客の需要に合わせて提供されるサービスの質が分かれること”としながら”既存でも労働関連知識情報は公益的サービスという認識が強かったが、AI活用が活発になれば無料サービスと有料サービスが区分されて、労務士も有料サービスに集中できるだろう”と展望した。

■弁護士法109条に道ふさがれた’リーガルテック’

ホン副会長の指摘のように技術発展により新しい技術が導入されるのは’当然のこと’でありどの分野でも発生する可能性がある。人工知能を活用したリーガルテックも世界的にその領域と規模を拡大していきつつある。ただし我が国は法の規制とデータ不足で道が混んでいる実情だ。

私たちの弁護士法は非弁護士の法律事務を厳格に制限している。第34条第5項で’弁護士ではない者は弁護士でなければできない業務を通じて報酬やその他の利益の分配を受けてはならない’と規定していて、第109条では法違反に対する処罰まで明示している。人工知能が提供する法律サービスが’非弁護士による法律事務取り扱い’に該当できることだ。私たちの裁判所は通常弁護士を助けて法律事務を取り扱う弁護士事務室事務職員であっても’弁護士の指揮・監督’なしに独自に法律事務を取り扱えば違法だと判断している。したがって弁護士の指揮・監督なしでAI法律業務を提供すれば違法に該当することができる。

イ・ビョンギュ明智(ミョンジ)大法学科教授は’人工知能(AI)法律サービスに対する弁護士法第109条第1号適用の有無に関する考察’論文で”現行法上人工知能法律サービスはそのサービス内容が法律事務に該当する場合▲弁護士が直接開発・運営しても▲開発者が弁護士ではない場合、これを弁護士(ローファーム)に提供して弁護士を通じてサービスをしても▲でなければ無償でサービスを提供してはじめて弁護士法上の問題を回避できることになる”と説明した。

この教授は該当論文を通じて”法律サービスに関するこのような弁護士法上の法的規制を理由に直接顧客を対象にしたB2C事業はできなくて、弁護士(ローファーム)を相手にしたB2B事業だけを営まなければならないこと、このような点で弁護士法第109条第1号は人工知能の法律市場進出に対する強力な進入障壁として作用しているわけ”と指摘した。

人工知能法律サービス拡大のためには該当法律改正が必須だ。だが、弁護士業界の反発で改正案発議さえ難しい現実だ。昨年共に民主党チョン・ソンホ議員がリーガルテック産業発展を目的に弁護士と非弁護士間の同業禁止および利益分配禁止規定を緩和する立法を推進したが発議さえなることができなかったことがある。

もう一つの障害として指定されることがデータベース不足だ。リーガルテック企業の大部分は’マシン ラーニング’技術を適用している。正確性を高める核心は’データ学習’だ。膨大な量のデータを学習してこそさらに正確な返事を出すことができるものだ。だが、私たちの法院が下級審判決文を極一部だけ公開するなどの理由で法律情報確保自体が難しいと見ると学習できるデータも少なくなる他はない。インテルシコン研究所関係者は”学習データが多いほど正確度が高まるが、アルファローが学習した契約書は700件程度しかならない。自主的に変形を加えて全体的に学習された契約データが1,000個の程度だ。5万,10万個のデータが必要だが非常に不足する”と話した。

■政府・公共機関が突破口となろうか

民間領域でAI法律業務が停滞した中で政府がリーガルテック活用に拍車を加えている。大法院は来る2020年から個人回生・破産裁判に’AI裁判研究官’導入推進意思を明らかにしたし、法院行政処は最近’司法府での人工知能(AI)活用方案’研究サービスに着手した。当該研究を通じて主文および請求趣旨、判断理由など判決文の実質的記載事項まで人工知能が作成するようにするのか活用方案を模索する計画だ。雇用労働部も人工知能法律サービスに関心を見せている。去るアルファロー腕自慢大会以後雇用労働部担当者がインテルシリコン研究所と業務ミーティングを持つ事実が確認された。

雇用労働部関係者は”新聞報道を通じてAI労働契約書分析システムに接してどのように活用できるのか資料収集次元で訪問した”として”現在はどのように活用できるのか、活用するならば実務的にどんな方向が良いのか検討中だ”と明らかにした。雇用労働部接触に研究所も喜色を見せた。インテルシリコン研究所関係者は”法律規制でサービス商用化が難しいならば、国民法律業務支援次元で雇用労働部と協力する方法も肯定的に見ている”と明らかにした。さらに業務協力を通じて学習データを確保する可能性も開かれる。研究所関係者は”勤労監督官が法違反事業所でコピーしてくる契約書が5万個程度あるという。この中の個人および事業所の敏感な情報を削除したデータを提供受けて学習すれば、私たちは技術正確性を高めることができて雇用労働部はより一層正確な法律業務を提供できることになる”として”政府の前向きな態度が必要だ”と話した。

一方政府が前向きに出るといっても相変らず弁護士法違反素地は残る。チョン・ジェウク弁護士は”政府機関や企業が各種システムを活用して機関内問題解決のために使うならば大きな問題はないが、このようなシステムを活用して他人を対象に自主的な法律諮問や訴訟支援など法律事務をするならば現行弁護士法違反になる素地が高い”と明らかにした。

イム・コウン記者goi@elabor.co.kr 

【出典】韓国/労働法律
http://www.worklaw.co.kr/view/view.asp?accessSite=Naver&accessMethod=Search&accessMenu=News&in_cate=104&in_cate2=1011&gopage=1&bi_pidx=30027

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Author: hasegawa

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