【韓国】「法務士法」改正案、‘弁護士代理原則’侵害しない

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申請代理と事件代理の区別 1)

チェ・ヒョンジン法務士(ソウル南部会)

はじめに

2018.1.10.イ・ウンジェ議員など10人の国会議員が発議した「法務士法」一部改正法律案(第11344号)中で司法補佐官業務事件申請の代理(改正案第6号)、各種非訟事件の申請代理(改正案第7号)、個人破産および個人回生事件申請の代理(改正案第8号)と関連して(以下改正案の第6号ないし8号を‘改正案’という)法務士に申請代理を認めるのは弁護士代理の原則を侵害するという憂慮の声がある。

実際去る4月1日開かれた国会法制司法委員会第1小委員会(以下1小委)の改正案審議過程でも国会議員をはじめとして法院、法務部皆が改正案の趣旨には共感しても、弁護士代理原則の侵害憂慮のために「法務士法」改正にさっさと同意できずにいる状況である。

しかし改正案が弁護士代理原則を侵害するという憂慮は‘申請の代理’と‘事件の代理’を区別できなくて発生した誤解であり取越苦労に過ぎない。

一方、一部では改正案の‘申請の代理’が現行法上‘申請の代行’と異なるところがないので「法務士法」改正の実益がないという見解もあるが、これもまた‘申請の代理’を正しく理解できなくて生じた誤解である。

これに対して本文では‘申請の代理’と‘事件の代理’の区別を通じて改正案の‘申請の代理’が弁護士代理の原則を侵害しないということをはっきりさせて、また現行法上‘申請の代行’改正案の‘申請の代理’が異なるということを明らかにすることによって‘申請の代行から申請の代理に’の迅速な改正が必ず必要だということを訴えようと思う。

改正案の‘申請の代理’

改正案では、司法補佐官業務事件申請の代理(改正の中第6号)、各種非訟事件申請代理(改正案第7号)、個人破産および個人回生事件申請の代理(改正案第8号)を法務士の業務と規定している。改正案で規定する‘申請の代理’とは何か?

これを理解するためにまず‘申請’、‘補正’、‘送達’に対する説明が必要である。‘申請’というのは一般的に当事者が法院に対し一定の行為を要求することをいう。

したがって‘申請の代理’というのは当事者から委任を受けた代理人が委任者のために法院に対し一定の行為を要求することである。すなわち、申請代理人は事件の解決のためのすべての行為を代理するのではなく受任した特定申請行為だけを代理するものである。

‘補正’というのは不足した部分を加えたり誤った部分を正して完全にすることをいうところ、申請の代理は事件と関連したすべての行為でない受任した特定申請行為だけを代理できることだから、申請行為に付随する行為、例えば完全な申請になるようにする補正行為は別途の委任なしに代理人がすることができる。

申請の委任に補正の委任が含まれているためである。すなわち、代理人に申請を委任する当事者は一つの完全な申請行為を委任しようと思う意思であるから完全な申請のための補正行為も当然代理人がすると期待するものである。

最後に‘送達’は送達を受ける者に手続き上の書類を交付したりその内容が分かる機会を与えるために司法機関がする通知行為である。申請代理人は申請に関する補正権限があるので別に送達領収人として申告しなくても法院の補正命令ないし補正勧告などの送達を受けることができる。

したがって、書面申請 2) において申請代理人は次の三つができる。最初に、委任者のために申請書を作成して提出することができて(申請)、二番目、申請書を修正または補完する補正書を作成して提出することができるし(補正)、3) 三番目、補正のために送達を受けることができる。

結局、改正案の申請代理は一つの申請のために法務士に一度だけ委任することによって法務士が申請書および補正書を作成・提出することができるようにすることである。

改正案の申請代理と弁護士代理の原則

가.弁護士代理の原則
‘弁護士代理の原則’というのは弁護士だけが代理行為ができて、弁護士ではない者は代理行為をできないという手続法的原則である。

多くの手続法が弁護士代理の原則を含んでいて、4) 今回の改正案と関連がある「民事訴訟法」5) と「非訟事件手続法」6)、「家事訴訟法」7) や弁護士代理の原則が認められている。

また「弁護士法」8) では非弁護士であり訴訟事件、非訟事件などを代理した者に対する刑事処罰規定を置いて弁護士代理の原則を保護している。

上のように手続法で弁護士代理原則が認められることは、訴訟などの手続きは非常に技術的なので専門家によって代理されてこそ手続きが円滑で効率的に進行されて、当事者の権利も正しく実現されることができるためである。

나. 非弁護士の‘事件の代理’
禁止手続法上の代理は実体法上代理とその対象行為において差がある。実体法上法律行為は各行為ごとに権利関係の変動をもたらすので、その代理は法律行為別に成り立つ。したがって様々な法律行為をした者に代理させる理由がない。各々の法律行為をさらに適している一人により代理するようにすればよい。

しかし手続法では連続するいくつかの行為が一つの手続きを構成する。すなわち、いくつかの行為は各自が独立した目的を持ったものではなく一つの権利実現のための一連の連続的行為なのである。

したがって手続法では手続全体を一つの事件で見て代理人 9) に事件全体を委任することが必要である。個別的な手続構成行為を別々にそれぞれ異なる者に代理するようにするのは連続した手続で代理行為が統一性を持てなくなって、また、行為者が変わることによって手続進行も非効率的に進行されることがおきるためである。

すなわち、一つの目的に向かった連続した一連の手続きの中でどれかの特定行為だけ代理するということは無意味で不必要である。そのために手続法では事件の最終的解決まで権利実現に向け必要なすべての行為を同じ代理人がすることができるようにすることが合理的である。

したがって手続法での代理は全体手続の代理すなわち、事件の代理である。

手続での代理が事件の代理である点は現行手続法の規定でも探してみることができる。まず「民事訴訟法」上訴訟代理人は委任を受けた‘事件’に対し‘一切の訴訟行為’をすることができるし、委任者が代理人の訴訟代理権の範囲を任意に制限できない(「民事訴訟法」第90条、第91条参照)。

すなわち、訴訟代理人の代理は‘事件’に対するすべての行為を代理する‘事件の代理’であることが規定上明らかである。「非訟事件手続法」と「家事訴訟法」上の代理人も「民事訴訟法」と同じように事件の代理人をいう。

また「弁護士法」も非弁護士の‘訴訟事件’、‘非訟事件’、‘家事訴訟または審判事件’の代理を禁止することによって弁護士の代理が事件の代理であることを前提として非弁護士の‘事件の代理’を禁止している(「弁護士法」第109条第1号가目)。

上のように様々な手続法上規定された事件の代理は事件が最終的に解決される時まで代理人が一切の法律上事実上行為を代理することを言って、このような事件の代理は弁護士だけがすることができて非弁護士による事件の代理は禁止される。すなわち、手続法上弁護士代理の原則によって禁止されたものは非弁護士の‘事件の代理’であるものである

다. 申請代理は弁護士代理の原則を侵害しない
上で調べた通り改正案で法務士の業務と認定するのは事件の解決のための全体手続のうち申請だけを代理する‘申請の代理’であり手続き全体を代理する‘事件の代理’ではない。したがって改正案は非弁護士の‘事件の代理’を禁止する弁護士代理の原則と衝突しない。

1小委審議過程で非訟事件などで法務士に申請の代理が認められれば弁護士と法務士の差がなくなることを指摘して改正案に反対する見解もあった。これは改正案の申請代理を事件代理で見ることのためである。

改正案の申請代理は代理人が受任した申請行為とその補正行為だけを代理できて、それ以上の行為はできない。したがって申請代理人である法務士は尋問期日に委任者に代わって出席したり陳述を代理できないが、事件代理人である弁護士は尋問期日に委任者のためにすべての行為を代理することができる。

したがって改正案の申請代理を認めるといっても法務士が弁護士と全く同じになるのではない。かえって‘申請代理’と‘事件代理’の差によって国民は事案の軽重、費用の多寡、代理人に対する信頼などを考慮して申請代理人として法務士を選択したり事件代理人として弁護士を選択することができるようになるものである。

申請代理人は委任者のために申請と補正、送達受領だけができるが、このような行為は全部現行法下でも法務士がすることができる。ただし、現行法では申請代理が認められないために各行為ごとに別途の委任を受けなければならないだけである。

したがって現行法上適法な行為であり、弁護士代理の原則との衝突が全く問題にならなかった行為に対して改正案では単に委任の回数だけを1回に減らしただけなので本質的に変わったものは何もない。それでも改正案の申請代理が弁護士代理の原則を侵害するという理由で反対するのは突然なことである。

現行「法務士法」にも申請の代理が認められている。正に‘登記・供託事件申請代理’と民事執行での‘買収申請または入札申請代理’がそれである。このような申請代理に対し弁護士代理の原則を問題視する者はない。ところが改正案の申請代理に対してはなぜ弁護士代理の原則を問題視することなのか?

1小委での議論を見れば非訟事件では後続手続があるので後続手続がない登記・供託事件と異なると見る見解がある。後続手続というのは主に尋問手続きを意味するのであるが、後続手続がないということによって申請代理の内容が異なるようになるのではない。 後続手続きがあっても申請代理は申請書と補正書の作成および提出で、後続手続きがなくても申請代理は申請書と補正書の作成および提出であるためである。

すなわち、どの場合でも申請代理の内容は完全に同一である。したがって後続手続きを理由に改正案を問題にするのは知って我を張ることか、申請代理を事件代理で誤解したためだろう。

「法務士法」改正の必要性_申請代理の認定

가. 現行法_申請の代行
‘代行’とは代行人が委任者のために意思表示以外の行動を対外的にすればその効果が委任者に及ぼすことをいう。受任者の対外的行為の効果が委任者に及ぶという点で代理と代行は同じだが、代理は意思決定を代理人がして代行は委任者がするという点で両者は区別される。

したがって一つの申請のために様々な行為が必要な場合、‘申請の代行’は各行為毎に意思決定者である委任者の委任が必要だが、‘申請の代理’は代理人が意思決定者なので申請に関する限り一度の委任だけがあれば良い。すなわち、申請の代行は数回の委任が必要だが申請の代理は一度の委任で足りる。

現行「法務士法」により法務士が当事者から委任を受けて申請をする過程は次のとおりである。 ①当事者から委任を受けて申請書を作成して提出して②補正命令に対比して委任を受けて送達場所および送達領収人申告書を作成して申請書と同時に提出して、③補正命令を受けることになればまた再び委任を受けて補正書を作成して提出する。

申込書と補正書および送達領収人申告書の作成および各書面の提出に対して委任人から別に委任を受けなければならないが、このような数回の委任はすべて‘一つ’の申請を委任したものであるから現行法上成り立つ法務士の申請過程を‘申請代行’と言うことができる。

나. 改正の必要性①_国民をさらに気楽に!
現行法上司法補佐官業務事件と非訟事件の申請に関しても法務士は申請を代行できるが、大韓弁護士協会はこのように申請代行が認められているので改正の中の申請代理は実益がないと主張している。すなわち、申請代理権付与なくとも法務士が当事者のための書面の作成と提出が可能なので新しく申請代理を認める必要がないということである。

しかし可能だということと不便だということは全く違う問題である。申請代行では一つの申請のために申請書の作成の委任とその提出の委任、送達領収人申告書作成の委任とその提出の委任、補正書作成の委任とその提出の委任を全部別にしなければならない。

すなわち、一つの申請のために少なくとも6回以上の委任をしなければならないことである。あまりにもわずらわしくて不便である。一つの申請のためには1回の委任で充分であって当然である。

何の合理的理由もなしで国民に不便を強要することはできない。 いったい何のための煩わしさなのか? 法律の改正は国民をさらに気楽にする方向で成されなければならず、現行法上申請の代行はあまりにも不便なので申請の代理での改正が必要なのである。

改正案は一つの申請のために数回の委任をする煩わしさをなくして、一度の委任にできるようにして国民の便宜を図り時間と費用の削減のためのものである。大韓弁護士協会も認めるように現行法上でも法務士は申請書と補正書の作成および提出が可能である。

すなわち、現行法上法務士ができないことを改正案を通じて法務士ができることに変えようとするのではない。改正案は不可能を可能に変えるのではなく不便さを便利なことに変えるものである。

1小委の法案審査過程で、「法務士法」では申請の代行を維持するものの大法院例規で提出委任状を1回だけ提出することができるようにすれば申請の代行による国民の不便が除去されるとの見解が提示された。

しかし書面作成および提出のための委任の数は減らさないで、その委任状の数だけ縮めることは無意味である 10)。 必要な委任の数が減らないために結局はすべての行為に対して委任が必要で、したがって国民は相変らず一つの申請のために何度も委任しなければならないためである。すなわち、国民の不便は同じである。

다. 改正の必要性②_形式を実質に合うように!
申請の代行は△申請書の作成および提出代行、△送達場所および送達領収人申告書の作成および提出代行、△補正書の作成および提出代行によるところ形式的には(=理論的には)申請に関する意思決定を委任者がすることになる。

しかし実際はそうではない。申請に関連した法律的知識と書面作成の技術は専門的で常識的でないためである。法院などに提出する申請書を法律の要求に合うように作成するのは、相当な法律的知識を要して一般人が申請書を正しく作成するのは容易ではない。

それで国家は国民の書面申請を助けるために‘法務士’という専門資格者制度を置くことになったのである。書面作成の専門家として法務士制度が定着したので国民は法務士の専門性を信頼して申請に関して法務士に意思決定を一任することが現実である。

たとえ法で認める形式は申請の代行で、委任者が直接申請に関する意思決定をするようになっていても現実に成されている申請の姿を見れば法律的知識がなかったり不足した委任者のために法務士が申請を主導のして実質的に申請を代理している。

前で弁護士代理の原則が、非常に技術的な手続きで円滑かつ効率的な手続き進行と当事者の権利実現のためであることを明らかにした。それと同じように書面申請手続きは非常に技術的なので専門家である法務士による時に円滑で効率的に成されて、当事者の権利もまた正しく実現されることができるものである。

結局非訟事件などの申請に関する法務士の業務処理は実質が申請の代理で成されるにも関わらず現行法は申請の代行という形式で取り扱っているものである。合理的理由なしで実質と一致しない形式を法で国民に強要するならば国民は法を尊重することも信頼することもなくなるだろう。

改正案はこのように実質と一致しない形式を実質と一致させるものである。改正案は形式を実質に合うようにすることによって法に対する国民の信頼と尊重を回復して法治主義の基礎を丈夫にするのに一助となるだろう。

結びに

改正案の申請代理は1回の委任で①申請(=申請書の作成および提出)、②申請書の補正(=補正書の作成および提出)、③送達を可能にするものである。これは一つの申請を1回の委任でできるようにすることによって時間と費用を節減して国民の便宜を増進するためのものである。

改正案により法務士の業務領域が新しく拡大することでもなくて、弁護士代理の原則が侵害されることでもない。しかし弁護士業界は現改正案に反対している。

法律専門家である弁護士が現行「法務士法」の申請の代行と改正案の申請の代理を区別できないはずがなくて、申請代理が弁護士代理の原則を侵害しないということを分からないわけもない。それでも大韓弁協が改正案に反対するのは、ひたすら弁護士の職域を聞くことも問い詰めることもせず無条件に守らなければならないという職域利己主義だとしか見えない。

是非、国民の便宜のための「法務士法」改正に大韓弁協も喜んで参加して改正案が早い時間内に立法で結実することができることを期待する。

[仮訳者注:原文脚注は該当ページにあるが、ここでは以下にまとめて掲載しました。]

1)この文章は筆者の個人の見解であり大韓法務士協会と関係がない。
2)申請は口頭でできる場合もあるが、実際にはほとんど書面による。改正案の申請の代理は法務士の業務と関連する書面申請の代理をいう。
3)補正は1回起こる事もあり数回起こることもある。
4)「憲法裁判所法」第25条第3項は“各種審判手続で当事者である私人は弁護士を代理人として選任しなければ審判請求をし、または審判実行ができない。ただし、その者が弁護士の資格がある場合にはこの限りでない。”、「刑事訴訟法」第31条“弁護人は弁護士の中で選任しなければならない。ただし、大法院以外の法院は特別な事情があれば弁護士ではない者を弁護人として選任することを許可することができる。”、「行政訴訟法」第8条は“行政訴訟に関してこの法に特別の規定がない事項に対しては法院組織法と民事訴訟法および民事執行法の規定を準用する”として行政訴訟には「民事訴訟法」第87条の弁護士代理原則が準用される。
5)「民事訴訟法」第87条で“法律により裁判上行為ができる代理人外には弁護士でなければ訴訟代理人になれない”と規定している。
6)「非訟事件手続法」第6条で“事件の関係人は訴訟能力者に、訴訟行為を代理するようにすることができる”、“法院は弁護士ではない者として代理を営業にする者の代理を禁じて退廷を命じることができる”と規定している。
7)「家事訴訟法」第7条第2項では“弁護士ではない者が代理人または、補助者になろうとすればあらかじめ裁判長、調停長または、調停担当判事の許可を受けなければならない。”と規定している。
8)「弁護士法」第109条(罰則)次の各号のいずれか一つに該当する者は7年以下の懲役または5千万ウォン以下の罰金に処する。この場合罰金と懲役は併科できる。
1. 弁護士ではなくて金品・もてなしまたは、それ以外の利益を受けたり受け取ることを約束してまたは、第三者にこれを供与するようにしたり供与するようにすることを約束して次の各目の事件に関して鑑定・代理・仲裁・和解・請託・法律相談または法律関係文書作成、それ以外の法律事務を取り扱ったりこのような行為を斡旋した者
 가.訴訟事件、非訟事件、家事調整または審判事件
9)手続でも委任者は必要に応じて数人の代理人を選任することができる。
10)上の見解が委任の数を減らすことを意味しない。なぜなら一つの委任状で申請書の作成と提出、補正書の作成と提出を委任できるならば、そのことがすぐに改正案の申請代理である。法務士法では申請の代行として規定し、例規で申請の代理に変えることはできないので上の見解は委任の数を減らすのではなく委任状の数のみを縮めることと理解される。

【出典】韓国/大韓法務士協会「法務士」2019年5月号

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Author: hasegawa

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