【韓国】ロースクール10年、弁護士試験このままではない

image_printPrint

ミョン・スング教授(高麗(コリョ)大ロースクール) 
入力:2019-05-02午後2:56:48

I.はじめに
‘弁護士試験法’によれば弁護士試験(以下‘弁試’)は検定試験だ、‘検定’は一定水準に対する絶対評価という点で相対評価を伴う‘選抜’と区別される。
‘検定’は’教育を通した法曹人養成’というロースクール制度の趣旨とも脈を同じにする。ところで現在の大韓民国ロースクールにグローバル概念はない。未来のための学問もない。ただ弁試準備だけが圧倒する。ロースクール施行10年の結果がみじめなことこの上ない。その根本原因は弁試である。弁試が選抜試験として運営されてから予想した結果だ。弁試は望ましい法学教育を牽引する方向に転換されなければならない。

II.現行制度に対する評価
<1>目的性を喪失した判例暗記:現在の弁試は数多くの判例暗記を要求する。
もちろん法原理と関連した核心判例は暗記しなければならない。ところで弁試は多くの場合に末端の実務的判例も要求する。塾でない大学校で弁試に正確に合わせた授業はできないものである。そうするうちに多くの学生たちが正規授業と別に弁試を準備する。これはロースクール制度に対する一般人の不信を引き起こす主な原因である。この病理的現象は正解論争または弁別力のための予防措置から始まる。さらにすみに隠れた判例が試験場に入ってくることになる。

<2>専門科目・実務科目の有名無実化:弁試で選択できる専門科目のどれ一つとして重要ではないものがない。しかし弁試の現実はこれに対し応じられずにいる。相対的に低い配点により科落[仮訳者注:科目に設定された点数以下である場合を不合格とする制度。]だけ免れればよい科目と認識されて久しい。その上選択の対象も特定科目できわめて偏重されている。記録型試験はどうなのか? 記録型試験はロースクールの実務教育ないし未来の実務とほとんど関連していなくて、事例型試験との差別性も曖昧である。

III.弁護士試験改善:段階別提案
<1>第1段階:ここでは相対的に多くの変更なくとも改善できる事項を中心に提案する。
①必修課目試験で出題対象判例の制限:最初の段階では判例を模範にする出題が避けられないだろう。このような事情を考慮して弁試の究極的改善を準備する次元で出題対象判例を制限することを提案する。判例制限の趣旨に共感するならば具体的な方式はそんなに難しくないだろう。弁試出題対象判例を制限しようということであってロースクール授業もそれに限定しようというのではない。ロースクールでは核心判例に関する法理論および関連判例も扱うことになるだろう。学生たちは新しい時代に似合う自身の役割を認識して純粋理論的基礎から現代社会の特有な法の問題に至るまで幅広い良識が必要だと感じるだろう。

②必修課目出題対象判例の制限と試験類型別考慮事項:制限された判例だけで出題・採点を遂行することが技術的に難しいと考えることができる。この問題は試験類型によりその状況が異なる。まず、選択型試験の場合にはほとんどすべての学生たちが満点を受けることもできる。したがって選択型に対しては根本的変化が必要である。P/F方式で評価して、脱落した受験生は後続試験に受験できないようにする方案を考えることができる。効率を最大化するためには選択型と事例型・記録型試験の間に時間的間隔をおく必要がある。在学中日程時点を捉えて選択型試験を実施することができるはずである。次に、事例型・記録型試験の場合を見る。この場合には従来と異なる方式の出題が避けられない。多くの判例の結論を知っているかを問うために様々な質問項目に分けて問うて、判例の暗記の有無を中心にした採点方式は利用できなくなる。出題は選択型試験と異なり大きく難しいことではない。すでに与えられた少数の判例だけを利用してもいくらでも立派な出題が可能なためである。事例型試験では判例の結論ではなくその結果が導き出されるまでの過程を重く評価しなければならない。既存学説や判例を利用するものの微細な変化を与えた時、それに対応する能力も検証することができるはずである。

③専門科目(選択科目)試験の改善:弁試時に選択科目を含ませた本来の趣旨に符合するにはすべてのロースクールで選択科目授業が忠実になされなければならない。しかし現実はそうではない。これに対し選択科目を弁試時に排除しようという提案もある。そのようになればロースクールで専門科目は徹底的に敬遠されるだろう。選択科目を弁試から除外して単位履修制に変更する方式が妥当だと考える。

<2>第2段階:選択刑・事例型・記録型で区分して検討する。
①選択型試験の場合:第1段階の改善(資格試験化)を経て終局には選択型試験を廃止することを提案する。“弁試でなぜ選択型試験が必要なのか?”に対し最も頻繁な答はどうかと言えば“選択型試験は本来なければならないものではないのか!
”かも知れない。深く考えてみれば、選択型試験が追求する弁別力は未来法律家に必要な素養と大きく外れるものである。

②事例型試験の場合:事例型問題は合計4面にだけ答えを書くようになっている。ロースクール スタート期の本来構想は学校で深い法的論証方法をすでに習ったので弁試ではその知識有無を軽く問おうということであっただろう。ところでもはや弁試は初期企画者の予想と全く異なる試験になった。多くの場合に事例型1質問項目当たり多くて約3行程度で答えることですべての質問項目に答えることができる。形式は事例型・叙述型だが、実質的には単純に判例の結論を問うものである(‘事例型の選択型化’)。その結果ロースクール学生たちは概して判例を批評的に読むことに関心がない。判例を利用してもそれが法原理と関連して抽象化の水準の判例を選択して出題しなければならない。合わせて判例の結論自体を正解とするのではなく論証・応用能力を評価しなければならない。

③記録型試験の場合:各実務領域で利用されるすべての書面形式を出題・採点するところから来る限界によって記録型試験は裁判実務科目で作成する検討報告書を書くように思われている。’尊敬語で使う事例型問題’という批判の原因でもある。上のような事情を聞いて記録型試験廃止主張もある。そのようになればロースクールで実務関連科目は徹底的に敬遠されるだろう。解決方法は何だろうか?最初に、評価方式の改善である。試験答案の差が実際の実務能力に対する弁別力を反映できない現状況で記録型答案の点数を総点に反映するよりはP/F方式で評価しようというものである。二番目、単位履修制で運営しようということである。現在の実務科目が有名無実になったのと比較してみるならば単純に記録型試験を維持することよりは効率的なのである。

<3>第3段階:最終段階の改善案として核心は大きく二種類である。
①資料提供型試験:法律家に必要な基本能力は資料を迅速・正確に検索できる能力である。事例型と記録型問題に対し’オープン・ブック テスト’を提案する。提供される資料はすべての法条文と判例をはじめとして多くの文献である。第一線法律家らと同じ環境での問題解決能力を検証しようというものである。この場合採点作業は過去と全く違う姿になるだろう。事案の問題点を正確に把握しているのか、可能な重要主張と論拠を把握しているのか、受験生がとった論証方式と結論が合理的で論理的に連結されるのかなどが評価対象である。‘模範答案’はない。独創的な答案に対しては追加点数も可能だろう。結論よりは‘模範的な論理性’に点数を与えなければならない。これが可能なのか? 採点を経験した者ならばこのような基準だけで十分に弁別力ある出題と採点が可能だということが分かるだろう。

②端末を通した入力:手で直接叙述型答案を作成する試験形態は受験生に体力消耗を越えて苛虐的である。コンピュータ端末を通じて答案を作成するCBT(Computer Base Test)方式は受験生に現役法曹人と同じ環境を提供するものである。CBT方式は書き方によって不利益を受ける心配ないという点で採点結果に対する信頼度向上にも寄与する。CBT方式は採点者の疲労度を大きく低くして結果発表時点を前倒しすることができる。CBT方式実行で技術的問題があるがそれが決定的な障害理由とはならないだろう。

Ⅳ.結び
‘法学専門大学院設置・運営に関する法律’第1条が定める教育理念がロースクールから消えて久しい。ロースクール スタートから10年、もはや社会が問題点を共有して改善策を模索しなければならない。弁試改善に関する問題は多様である。この文ではその中で根本的な事項だけを扱った。’盲目的判例暗記’を現行弁試の核心問題と指摘してそれを改善するための方案を段階別に提示した。これは実現の可能性を考慮したのである。弁試はAI法律家と共存する人間法律家の中核技術を牽引する方向で改善されなければならない。弁試の基本方向は’弁護士試験法’第1条で必要・充分で、その核心は弁試が検定試験ということである。ロースクールのカリキュラム、周期別ロースクール評価制度、主要機関の教員派遣など現行制度もまた検定試験を前提としたものである。過渡期で司法試験制度の並存、根本目的を見逃した集団利己主義、無責任な国家行政、ロースクール当局者の安易な未来予測などが重なって現在の弁試は深刻な病理現象に苦しめられている。弁試が正しい方向で改善されるならば合格者が2000人でも社会はロースクールを信頼することであり、合格者が1000人でも受験生はこれをうなずくだろう。弁試制度の改善において“試験でなくては能力を評価できない”、“学生たちは試験が難しくてこそまともに勉強する”、“すべての人が合格する試験は試験ではない”、“早くて法を遵守した書き方も能力だ”等の見解から果敢に抜け出す必要がある。

ミョン・スング教授(高麗(コリョ)大ロースクール)

※この文は法学専門大学院協議会2018年研究報告書(ミョン・スング/ホン・ヨンギ、’法学教育正常化のための弁護士試験改善方案’)に基づいたものである。

【出典】韓国/法律新聞
https://www.lawtimes.co.kr/Legal-Info/Legal-Info-View?serial=152744

こちらの記事もどうぞ:

image_printPrint

Author: hasegawa

コメントを残す